神奈川工科大学 情報学部 情報メディア学科・谷中研究室、白井研究室は2011年10月20~22日に日本科学未来館・国際交流館(東京お台場)にて開催される、先端的なデジタルコンテンツの展示会「デジタルコンテンツエキスポ2011」(http://dcexpo.jp)に出展、研究成果を展示いたします。 【日時】 【発表内容】 普通の液晶ディスプレイと市販のフライアイレンズを用いたインテグラルフォトグラフィ 【概要】「拡張フラクショナルビュー」という独自技術を用いることで、普通のPCの液晶ディスプレイ上に市販のフライアイレンズを重ねた簡単な構成で、高品質なインテグラルフォトグラフィを安価に実現する道が開けました。 【詳細】現在3D映画や3Dテレビに採用されている立体表示方式の中でも、メガネが不要な裸眼方式「インテグラルフォトグラフィ」を簡単に実現することができる技術です。従来のメガネ不要の3Dディスプレイの多くは、視差は水平方向のみに設計されており、画面を上下から覗き込んでも像は変化しませんし、寝ころんで見たり、周りから囲んで見たりすることはできません。つまり見る方向によっては立体に見えないディスプレイです。これに対しインテグラルフォトグラフィは、水平方向だけでなく垂直方向をも含む全方向に視差がありますので、見る人の目の位置が上下左右に動けば、それに応じてその方向から見た立体像が表示されます。自然な姿勢で立体像が見える優れた方式です。従来は、非常に高解像度の液晶ディスプレイと、その液晶の解像度に合わせて作られたフライアイレンズ(複眼レンズ)が必要と考えられていたため、非常に高価なものになってしまい、インテグラルフォトグラフィの実用化はかなり先と考えられていました。 神奈川工科大学情報学部情報メディア学科の谷中一寿教授らのグループの方式は、現在市販されているノートPCに、市販のフライアイレンズを重ねたきわめてシンプルな構成で、このインテグラルフォトグラフィを実現しています。「拡張フラクショナルビュー」という方式で、液晶ディスプレイの各画素から出る一本一本の光線が光学系でどのように屈折し、どの方向に進むかを計算で追跡し、画素の明るさや色を求めるものです。この過程で従来、高精度の貼り合わせが必要と言われていた液晶ディスプレイの画素間隔と、フライアイレンズのレンズ間隔の違いを吸収することができ、莫大な費用をかけて液晶ディスプレイに合わせてフライアイレンズを設計製造しなくても、安価な市販品が使えるという付加価値を得ました。しかも液晶ディスプレイの解像度が何種類あっても、フライアイレンズは一種類でも対応できるので、大幅なコストダウンが可能になりました。今回の国際3D Fairでは、CGで作成した3Dアニメーションを実演展示します。事前にこの方式用に作っておいた画像データを単にPCの画面に表示し,その上にフライアイレンズを重ねていただくだけで、誰もが今すぐ簡単に全方向に視差のある3D画像を楽しむことができます。 【写真:家庭用PCに谷中研究室「拡張フラクショナルビュー」を適用し3D映像を表示した様子】 |